このたびAAEFアートセンターでは、展覧会「アニメと現代アートの関係性について 」を開催する。本展では、廣瀬祥子(Shoko HIROSE)、瑛音(Eito)、手島領(Ryo TESHIMA)、井口真吾(Shingo IGUCHI)、佐藤しな(Shina SATO)、Ouma、naomao nikki、水江未来(Mirai MIZUE)、はるおさき (Haruosak)、倉澤紘己(Hiroki KURASAWA)といった、現代アートシーンで活躍する日本人アーティスト10名を紹介し、絵画、インスタレーション、アニメーション映像など70点を超える作品を展示する。漫画やアニメといった「サブカルチャー」の語彙が、どのように現代アートの言語へと転換され、視覚表現や社会的アプローチに影響を与えているのかを探る。

1990年代以降、日本の漫画やアニメは、周縁的なサブカルチャーから次第に主流文化へと移行し、都市景観や消費文化に影響を与えるのみならず、美術館やアートフェア、オークション市場にも進出するようになった。漫画的な物語のリズム、アニメの造形的スタイル、虚構のキャラクターに見られる原型的イメージは、アーティストに新たな創作言語と視覚的アプローチをもたらしている。村上隆や横尾忠則といった先駆的なアーティストたちは、そうした実践と市場での評価を通じて、サブカルチャー由来の視覚語彙が現代アートの本質へと接続しうる可能性をすでに証明してみせた。こうした動向は、国際的なアート市場においても高い注目を集めている。本展では、現在の日本人アーティストたちがサブカルチャーの象徴を用いていかにして新たな創作言語と現代的視点を展開しているのかを紹介するとともに、漫画、アニメ、イラストレーション、美術との境界線を越境することによって、「サブカルチャーをハイアートへと押し上げる」という多様な可能性と創造的な道筋を提示することを目指す。

注目すべき出展作としては、以下の作品群が挙げられる。

・廣瀬祥子(Shoko HIROSE)の『Life in a “PARALLEL” world』シリーズは、デジタル出力と手描き加工を融合させ、初音ミクのようなバーチャルキャラクターを現代アートの文脈において、どのように解体され、再生されうるかを探求する。

・瑛音(Eito)は、密集した点と線によって装飾的な超平面構造を構築し、抽象化されたアニメーション的画面を創出する。

・手島領(Ryo TESHIMA)は、「BABYBOY」というキャラクターを軸に、「かわいさ」と戦争という対立するテーマの融合を試み、日本の「萌え文化」と反ユートピア精神との交錯を表現している。

・井口真吾(Shingo IGUCHI)の作品に登場するキャラクター「Z CHAN」は、禅の思想と仮想世界の哲学を融合させ、存在論的な問いを投げかける。

・佐藤しな(Shina SATO)は、マンガ的な漫画的叙事構造を取り入れ、少女の視点から語られる世代的孤独と希望の物語を描いている。

・Ouma は「細胞」を主題に、生物学的メタファーを通じて、個人のトラウマを集団的な癒しの経験へと昇華させる。

・naomao nikki は、白猫キャラクター「naomao」を中心にインスタレーション空間を構築し、「かわいい」と商品性、ジェンダーと消費というテーマの交差をユーモラスかつ鋭く批評する。

・水江未来(Mirai MIZUE)の短編アニメーション『ETERNITY』は、宇宙の循環を抽象映像によって描き出し、言語を超えた感覚的な物語で観る者を圧倒する。

また、本展では特別に、東京藝術大学アニメーション専攻出身の新進気鋭のアーティスト、はるおさき(Haruosaki)および倉澤紘巳(Hiroki Kurasawa)の2名を迎え、ジブリやディズニーといったカルチャーから影響を受けた新世代の作家たちが、アニメーション美学を土台に、物語性と実験精神を融合させた芸術実践をどのように展開しているのかを紹介する。彼らの作品は、アニメーションというメディアが持つ芸術表現への変容可能性を明確に示すとともに、娯楽の枠を超えて現代アートとしての展開が可能であることを明確に示している。

本展は、多様な表現形式と豊かな視覚言語を通して、アニメやマンガなどの視覚文化が現代美術においてどのような位置を占め得るのかを再考し、アートと創作の境界について鑑賞者に問いを投げかけることを目的としている。また、日本のサブカルチャーが内包する複雑性と芸術的ポテンシャルを、多角的かつ立体的に浮かび上がらせることも試みている。出展作家たちは、それぞれ異なる手法や美学を追求しつつも、「サブカルチャーをハイアートへと押し上げる」という共通の理念を共有している。こうした多様な個性の交錯と衝突によって、本展は単なるスタイルの共存を示すにとどまらず、現代日本における新たな芸術運動の重要な出発点となる可能性を秘めている。

    

■展示会概要

展示会テーマ:アニメと現代アートの関係性について

会期:2025年7月26日(土)~8月31日(日)

オープニング:7月26日(土)16:00~19:00

開催機構:AAEF ART CENTER 

協賛:Tagboat

キュレーター:毛芊惠Qianhui MAO、德光健治Kenji TOKUMITSU

プロデューサー:洪欣Shun

住所:上海市青浦区朱家角镇酒龍路334弄銅管場文化創意産業園8号楼

公式サイト:https://aaefartcenter.art/

公式アカウント|Wechat: 

インスタグラム:https://www.instagram.com/aaef_artcentre/

   

■展覧会情報・お問い合わせ先

プレスリリース:こちらよりダウンロード

メディアお問い合わせ:曹暁雲(aaef@shunartdesign.com)